前置き
2020年アジア時価総額増加最大のトップ3企業、Shopeeのシンガポール親会社のSea、中国EVメーカーのBYD、中国Eコマース企業の拼多多。
コロナが猛威を振るう中、国際的な中央銀行は資金を投入し、グローバル株式市場は上昇が止まらない。今年の市場時価総額を最も伸ばしたアジア株のトップ3は、Shopeeのシンガポール親会社「Sea」、中国の電気自動車メーカー「BYD」、中国のEコマース企業「拼多多」である。
12月28日の日経新聞によると、今年のSeaの時価総額は5倍に急成長、1,026億米ドルに至り、東南アジア企業市場の時価総額の覇者となっている。QUICK-FactSetのデータによると、2021年12月22日現在までで、2019年末の時価総額が100億米ドルを超えるアジア大企業500社中、Seaの時価総額の上げ幅は一位となった。
Seaの3本柱は、Eコマース・オンラインゲーム・電子決済で、いずれもコロナの出現により急激な成長の恩恵を受けている。またマーケットシェア獲得に向けた強力なマーケティングも続けている。それだけでなく、Seaは2021年12月初めにシンガポールのインターネットバンキングのライセンスも取得し、金融技術における新しいビジネスチャンスも期待されている。Seaは数少ないアメリカに進出している東南アジア業者の一つであり、2021年から現在に至るまで、Seaのアメリカ上場ADRは、380.31%急増している。
中国Eコマース企業拼多多の時価総額はアジア大企業中の第3位。2021年に入って拼多多の株価も288%増、1,750億米ドルにまでに至った。中国のコロナ感染はほぼ抑制されているものの、現地のオンラインショッピングは引き続き好調で、今年の第3シーズンの拼多多の営業成績は89%増の142億人民元に至っている;純損失も前年同期の23.4億人民元から7.847億人民元へと縮小した。
Eコマース株以外でも、EV車メーカーも驚くべき成績を残している。BYDの時価総額は333%増の738億米ドルと市場価値増加率はアジア大企業中2位。11月のBYDの電動自動車の年間販売台数は2倍となり、中国のEV車メーカーの覇者となっている。それだけでなく、BYDのEV用バッテリーでも躍進しており、2020年に発表されたBlade Battery(刀片電池)は、エネルギー密度を30%向上させ、原料コストを30%削減できる。その他、アジアのEV用バッテリーメーカーも突出しており、中国のメーカー寧德時代の時価総額は211%成長、1,116億米ドルに、韓国のLG Chemの時価総額は、149%増の534億米ドルに達した。
専門家:中国がEV車のサプライチェーンを支配することで、この業界の覇者となり、欧米にとって致命的な戦力的弱点となる恐れがある。
OilPriceとCNBCは2021年10月、中国が世界最大の電気自動車(EV)市場だけではく、将来的には、EVの覇者となろうとしている!と報じた。北京では中国のEVサプライチェーンをグローバル展開を準備しており「今後5年間は、中国のEVサプライチェーンの業者が積極的に海外を目指すと予想される。中国の材料費は他の海外市場より安く、もし彼らがこの優位性を維持すれば、中国のメーカーは、非中国メーカーに対して、コスト優位に立つことができると考えている」と瑞銀(UBS)は述べた。
UBSによると、中国の寧德時代とBYDの2つのメーカー合わせて、世界のEVバッテリー市場の3分の1を占め、ヨーロッパにおけるEVの「驚くべき成長」にも助けられ、寧德時代が中国以外のマーケットでも2019年の2%から2025年には14%まで増加すると予想されている。
中国は、EV車のサプライチェーンの大部分を支配しているため、コスト面での優位性を享受している。Benchmark Mineral Intelligence社によると、2029年までで世界で計画されている136社のリチウム電池メーカーのうち、107社が中国、アメリカは9社に過ぎないという。BNEFは2021年9月、中国が世界のリチウム電池の原料精製の80%をコントロールし、電池生産の77%、世界の部品生産の60%を支配していると報告した。