台湾大車隊が事業を分割しスーパーアプリ開発!会員数650万人の底力で生態圏をどう広げる?

レベル3警戒態勢下、台湾大車隊の売上は20%程度の落ち込みで抑えられているが、これは以前から計画していた多角化経営の成果であり、2022年大車隊は「スーパーアプリ」方面へ転換を遂げる。この背景にある戦略を今回は解説する。

台湾大車隊は本日(2022年2月10日)開催された臨時株主総会において、親会社のプラットフォーム事業を分割し、「台灣智慧生活網股份有限公司(OMEGA INCORPORATED COMPANY)」を設立することを決議した。

台湾大車隊の野望は、国内規模最大の配車プラットフォームだけにとどまらず、東南アジアのGrab同様「スーパーアプリ」を目指している。董事長の林村田の頭の中にはどんな青写真が浮かんでいるのか?以下《數位時代》の専属インタビュー。

忙しい年末、飲み会やカラオケなど、タクシーは必要不可欠な移動手段となっている。台湾市場最大を占める台湾大車隊は、2021年12月の企業会議において、2022年最重要転換戦略となる「スーパーアプリ」の開発情報を発表した。

大車隊を利用したことがある方なら「55688生活密碼(55688ライフコード)」というスローガンを聞いたことがあるだろう。スーパーアプリ構想の中では、55688はタクシー配車だけでなく、クリーニング、速達、ホテル予約、宅配など生活の中で必要なサービスをこの大車隊のアプリ上でカバーすることができる。

スーパーアプリの背後に「6分間ルール」

2006年に農家出身の董事長、林村田が台湾大車隊を引き継いだ。彼は現在の大車隊はすでに「テクノロジー情報企業」だといっていた。

10年以上前、林村田はすでに「台湾人のライフパスワード」構想を胸に抱いていた。交通メディアサービスを開始してから、最終的には6分間以内に生活の様々な問題を解決することだとしている。

6分間の概念はタクシーメディアから来ている。大車隊の統計によると、タクシーが乗客のいる場所への平均到着時間は6分間。乗客が待つのに耐えることができる時間がちょうど6分間なのだ。今後導入予定の他のサービスも「6分間ルール」に従い、時間内に顧客に提供されることが期待される。

データ引用元:台湾大車隊

ここ数年、大車隊は転換の成果を上げ続けている。現在の総会員数は650万人に上り、毎月約4万人以上が増加し続けている。コロナの影響下において、配車アプリ比率は50%から70%成長しており、非現金支払い車の比率はすでに50%を超えています。現在の大車隊アプリの月間アクセス数は平均1800万アクセスに達しており、顧客はアプリでタクシーを呼ぶ習慣をすでに身につけている。

その他、大車隊は多角化事業を有しており、グループ傘下に全球快遞(グローバルエクスプレス)、潔衣家などの子会社を持っており、客を乗せる以外のサービスを提供している。

大車隊が「スーパーアプリ」を加速させた鍵となったは、2021年のレベル3警報だった。台湾大車隊のCEO林念臻は「当時タクシービジネスは20%まで落ち込んでいたが、それでも赤字にならなかったのは、多角的なアプローチによるものだ」と振り返る。例えば、タクシー隊と全球快遞(グローバルエクスプレス)が提供する食品配送サービスを提供し、タクシードライバーにビジネスを提供した。

台湾大車隊CEO林念臻は「レベル3警戒態勢のもと、タクシービジネスが20%落ち込んだが、それでも赤字にならなかった」と振り返る。

これらの数字から大車隊の経営陣は、会社は生態圏とプラットフォームの方向に発展することでよりクリエイティブな成長していかなければならないと思っており、産業環境のあらゆる変化に対応していくべきだと考えている。

この戦略に沿り、明確に区分を分け、2021年12月、大車隊は情報、研究開発、ビックデータ、マーケティング企画、新事業などに切り分け、傘下の子会社の台湾智慧生活網に交通以外のサービス運営を任せるという重要発表をした。

スーパーアプリ開発における、大車隊の条件とは?

スーパーアプリとは、自分と外部のサービスをつなぎ、仕事を分散させるプラットフォームで、とあるマーケットにおいて、誰もが必ずインストールしているアプリ。台湾でほとんどの人が使っているLINEのようになるのが目標だ。

国際社会では、すでに多くの代表例がある。東南アジアのGrabも同様に配車からスタートしたサービスで、現在では金融決済、交通、食品配送などのサービスまで拡大しており、東南アジア市場の数億人が毎日Grabなしでは生きられなくなっている。

東南アジアのGrabも同様に配車サービスから始まり、現在は金融決済、交通、食品配送などのサービスへと拡大している。

台湾大車隊が開発中のスーパーアプリのキーワードは「会員数650万人、月間1800万アクセス」。この鍵となる数字について林念臻は、台湾でこれほど大量のアクセスを持つアプリは多くはなく、さらに配車は「高頻度・需要型」サービスであるため、よく乗車をする顧客は、大金を含んでることもある。

また、交通サービス、車両管理には参入障壁があり、競合が簡単に作り出すことができない規模であり、大車隊のメリットでもある。

「誘導購入」戦略を活用する生態系の成長はどう行う?

林村田は、グループ収益の約80%が「情報メディアサービス」によるものだと以前指摘している。情報メディアサービスのうち、92%が配車サービスから来ているものであり(アクセス量からみると、配車アプリの比率は70%を超えている)、残り8%はグループ傘下のライフスタイルサービスによるものである。

次の目標として、ライフスタイルの8%をさらに拡大することで、グループの子会社によるエコシステムの戦略改革のためのプラットフォームを開放し、他業者を招き入れていく。

林念臻は「ここ数年、台湾では生活圏が話題となっている」と打ち明けた。大車隊は、上記の条件を除き、他にも誠意を示している。内部ではすでに、650万人の会員データを整理、ラベリングを行い「ONE ID」を作成しているのだ。

外部パートナーは、大車隊のプラットフォーム上でONE IDを通して異なる顧客属性を連結し、サービス提供が可能となる。「導入顧客」は、顧客やビジネスチャンスを獲得する手段である。大車隊も決済金融を開放することも可能で、顧客が大車隊アプリと決済ツールを紐付け支払いを行える。大車隊からすれば、この導入により生活圏の拡大をより加速させられる。

現在、大車隊のライフ系サービスは、大きく8つのカテゴリーに分けられる(詳細図表)。例えば、もし顧客Aが頻繁にタクシーに乗って新幹線の駅に行くというデータを見つけたとする、顧客Aには出張需要があり、もしかしたら、ホテルの需要があるかもしれないということが推測できる。

データ引用元:台湾大車隊

大車隊は海外の予約サイトと連携し、顧客Aが配車すると同時に大車隊アプリは部屋の予約もすすめる。また、乗車クーポンを貯める事もできる。このようなロジックにより、定頻度・高利益のビジネス(部屋の予約)を刺激し、高頻度・低収益のビジネス(配車)に還元する。林念臻は、このようなトラフィックが真のビジネス的価値を生み出せると認めている。

プラットフォームの開放だけでなく、車の移動経路も変化させる

生活圏の概念は商業分野だけでなく、技術的な実験も含んでいる。台湾には多くの交通技術を研究開発するスタートアップが存在するが、大規模な実証実験の場が不足している。そこで、2万台以上の車が台湾全土に走っているため、問題解決にもってこいだと林念臻は語る。

最近では、大車隊はADAS(先進運転支援システム)ベンチャーと提携し、カーレコーダーの映像を収集し、エッジコンピューティングを通じて、予測を行っている。例えば、ドライブレコーダーが赤信号を検知してもドライバーが減速しない場合、警告が発せられたり。現在、この概念検証(POC)は、50台の車両に搭載されており、これまでで最大規模の提携となります。

データ引用元:台湾大車隊

これらの提携のほとんどは、スマートシティーに的を絞っている。林念臻は、スタートアップとの提携は、最新技術をいち早く取り入れることができ、未来技術が成熟した後、優先的に大車隊でテストをすることができると話す。例えば、大車隊は台湾初無人タクシーを開始しており「これは将来の成長エネルギーへの投資である」と語る。

さらに、車内のヘッドレスト部分では、広告が流されたり、クレジット決済ができるマルチメディアマシンがあり、想像力を膨らませる空間となっている。林念臻は「これは4G接続のパソコンのようだ」と示す。会員データの把握を通し、より正確な広告コンテンツを流し、タクシーが1つのモバイルチャネルになるのと同じことだ。

これらの新戦略について、林村田の「現在の大車隊はすでに『テクノロジー会社』となっている」と言うことを裏付けるもので、正確な変革ビジョンは、すでにコロナの厳しい試練の中で、多角化経営の有効性を証明している。今後、台湾の「スーパーアプリ」はどのようになるのか、大車隊の新たな1ページといるだろう。

引用元

台灣大車隊分割業務打造超級APP!帶著650萬會員的底氣,如何擴大生態圈?

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