台湾企業3社がフォーブス誌の「注目すべきアジアのスタートアップ100社」に選出される

注目すべきアジアのスタートアップ100社とは

この1年、世間の注目は主にAI技術を牽引する大手テクノロジー企業に集まっていましたが、経済の活性化には依然としてスタートアップが欠かせないかもしれません。

著名な経済メディアである「フォーブス」は、今年度のアジア太平洋地域における注目のスタートアップ100社を発表し、アジア各国で注目される価値のあるスタートアップや小規模企業を明らかにしました。

今年は台湾から3社が選出されています。

今回は「フォーブス」による5年目のアジアの注目スタートアップ100社のリストです。

しかし、揺れ動く経済環境や国際間の争いの雰囲気が強烈に高まる中、ここ数年のベンチャー投資業界は厳しい場面に対峙しており、昨年のアジアにおけるベンチャー投資額は過去10年で最も少ない658億米ドルでした。

しかし、この流れに反して好調な国もあります。KPMG(安侯建業聯合會計師事務所)のレポートによると、2025年第2四半期において日本、インド、シンガポールのベンチャー投資額は大幅に増加しました。

今年の「注目すべきアジアのスタートアップ100社」に掲載された企業のおよそ半数がこれら3カ国からのものです。

企業の選出方法ですが、「フォーブス」によると、オンラインで多数の企業を募集し、アクセラレーター、インキュベーター、大学、ベンチャーキャピタル及びその他の機関から推薦を受けた企業も対象とするそうです。

同時に、企業は以下の条件を満たす必要があります。

  • アジア太平洋地域に本社を置く未上場企業であること
  • 年間売上高が5,000万米ドルを超えないこと
  • 2025年8月中旬までの累計資金調達額が1億米ドル以下であること

さらに、業界や地域に与える影響力、ビジネスモデルの将来性などの指標に基づいて評価されます。

台湾スタートアップの資金調達額が過去最高に

台湾のベンチャー投資も好調です。国家発展委員会(National Development Council)は今年8月、2024年の台湾スタートアップによる資金調達額が約1,072億台湾ドルに達し、過去最高を記録したと発表しました。

こうした背景のもと、「フォーブス・アジア注目の100社」に選出された台湾企業が昨年の僅か1社(PopChill 拍拍圈)から、今年は3社(FaceHeart_鉅怡智慧、Health2Sync_智抗糖、MetAI_宇見智能)に増加しました。

今年のリストにのった100社は既に約30億米ドルの融資を獲得し、昨年リスト入りした企業が調達した20億米ドルを上回ります。

「フォーブス」によると、投資家はバイオテクノロジー、航空宇宙技術、グリーンテクノロジーなどの分野を重視し始めていて、バイオテクノノロジーとヘルスケア分野は今回のリストの中で18社あるそうです。

台湾から選出された3社のうち、2社もこの分野に該当します。

FaceHeart(鉅怡智慧):鏡を見るだけで心拍と血圧を測定

FaceHeart(鉅怡智慧)は、AI技術を活用して非接触型の生体計測システムを主に開発している企業です。

公式サイトによると、同社の主力製品であるFaceHeart Vitalsは、ユーザーの顔情報をスキャンし、顔検出とデジタル信号処理、AIモデル演算を組み合わせることで、心拍数、血圧、血中酸素飽和度、呼吸数、心拍変動、心房細動、ストレス度などの数値を計測できます。

同社は2022年にTaiwania Capital(台杉投資)主導のシリーズAラウンドで、2億1,000万台湾ドルを調達することに成功しました。

現在、FaceHeartは海外展開業務を進めており、今年のコンシューマー・エレクトロニクス・ショーでは、複数の生理的数値を計測できるAIスマートミラーを出展し、イノベーションアワードを再び受賞しました。

さらに今年4月、同社製品はアメリカ食品医薬品局(FDA)の認証を受けることに成功しています。

Health2Sync(智抗糖):糖尿病患者の病状管理をサポート

Health2Sync(智抗糖)は、糖尿病患者向けにデジタル管理プラットフォームを提供している企業です。

患者はテクノロジーを活用して、病状を継続的に監視・管理でき、患者本人および医師の双方が血糖値の変化をひと目で把握し、危険な兆候に随時注意を払い、ひいては病状を安定させます。

Health2Syncのサービスは現在、台湾、日本、エジプト、韓国など複数の国に普及しており、世界中で600以上の医療機関と提携し、登録ユーザー数は160万人以上に達します。

今年3月、同社は台杉投資水牛三號生技基金が主導し、Wistron(緯創資通股份有限公司)やPegatron(和碩聯合科技)などの台湾メーカーが参加するシリーズCラウンドで2,000万米ドルの資金調達に成功し、累計資金調達額は3,000万米ドルに達しました。

MetAI(宇見智能):数分間で「デジタルツイン」を生成

MetAI(宇見智能)は、2023年に設立されたばかりの企業で、生成AIを活用してデジタルツインを構築する技術に特化しています。

例えば、数分以内に倉庫の平面図をインタラクティブな3D環境に変換できるため、企業は施設を迅速に検証しながら計画を立てられます。

今年のComputex(台北国際コンピュータ見本市)では、NVIDIAのCEOである黄仁勲氏に取り上げられ、同社が最新の顧客としてTSMC(台灣積體電路製造股份有限公司)を獲得したことが公表されました。

今年1月、MetAIはシードラウンドで400万米ドルの資金を獲得し、投資家にはNVIDIA(輝達)、KENMEC MECHANICAL ENGINEERING(広運機械)、Solomon(所羅門)及び複数のベンチャーキャピタルが含まれます。

同社は、この資金を活用してチームの拡大とアメリカ市場への進出を計画しており、早ければ今年の下半期にアメリカでの業務を正式に開始する予定です。

引用元:https://www.bnext.com.tw/article/84317/forbes-asia-100-startup-to-watch

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