前書き
バッテリー電源提供の老舗メーカー飛宏(2457)の去年の株価は20元以下を推移していた。しかし、2021年12月前までは25〜45元の間でしか変動していなかったが、12月23日、株価が再上昇、中盤には50元のハードルを突破。終盤には49.9元、5.38%増、急激に20万枚も増加し、史上最高市場売買量になった。売買高も104.75億元に上り、TSMCの100.46億元を抜き、第3位となった。
飛宏は電動自動車関連に集中露出
飛宏は2021年の台湾株式終了を前に、注目を集める銘柄の一つとなった。直近3年の経営赤字が続いており、第3シーズンにわたる財務報告でも回復に転じていない会社がなぜ「人気」なのか。ずばり言うと、やはり電気自動車が関係してくる。飛宏の電気自動車分野への参入は、5年前の中国における公的補助を受けた電気自動車産業にある。当時、中国市場の電動自動車と充電スタンドをターゲットにしていたが、運営事業に明確な貢献ができなかった。そのため、次第に欧米市場へと転換して行ったのだ。
2021年7月、飛宏は欧米市場において新たな成果を出した。まずは、TECOとの提携。TECOの米国子会社であるTECO Westinghouse Motorと飛宏の米国子会社、及び、米国エネルギー集団(Getka Group)傘下の新会社Getka Manufacturingの3社が提携し、米国オクラハマ州でレベル2及びレベル3の電気自動車用の急速充電スポット、急速充電スタンドを設置。米軍商用車、都市旅客バス、公共バス用の電気自動車を提供する充電市場へ参入することを発表した。
飛宏の大型電気バス充電スタンドによる成功は、マイクロソフト社でさえ株価上昇の影響を受けている。10月には、飛宏はマイクロソフトのクラウドサービスソフトウェアを採用したと発表。飛宏は現在、全台湾における大型電気バス充電スタンドのシェア9割を占めている。マイクロソフトは、世界の電動自動車産業の発展においても強気で、世界の総販売台数は2020年の250万車両だが、2030年には3,110万車両まで成長するだろうと見ている。
近日、飛宏は石油大手のShellグループとも契約しており、Shellの充電設備のグローバルサプライヤーとなり、12月から世界へ出荷を開始すると噂だ。また22日に行われたTCCと飛宏の戦略的なパートナーシップにより、1株あたり40.26元、合計15.1億元を飛宏へ私募しており、世界における充電設備市場のビジネスチャンスを獲得し、更に市場の話題を増やしそうだ。
しかし、やはり大企業は立ち止まって耳を傾け続けなければならない
TECO、米国エネルギー集団、Shell及びTCCの支援を受けて、12月から23日までに株価は37%高騰し、更に株式市場の取引開始後、売買量は上場企業で第1位、売買額はTSMCを抜いて第3位となった。しかし、アナリストは、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)を見ると、収益の7割がスマートフォン及び工具の充電器製品で、営業実績については、過去3年の財務報告から、2018年は1株当たり0.73元の赤字、2019年には1株当たり-0.11元と縮小しており、去年のEPSは-0.46元となっているので注意を促している。
今年を含み、期間を伸ばしてみてみると、5年間赤字状況が続いており、1株あたり2012年は1.13元、2013年EPS0.55元、2014年は0.52元、2017年は0.02元と、この前3シーズンにおいて0.88元の赤字であり、全体としては、いまだ優れた業績とはいえない。特に、飛宏の株式資本は33.77億元、23日に20.9万枚の上場以来過去最高売買量に達成し、株式の活況ぶりを印象づけたが、株価はファンダメンタルズに支えられるため、財務報告の数字が追いつくかどうかを引き続き観察していく必要がある。