台湾の自動運転技術が日本に進出!TURING DRIVE(台智駕)とは

台湾のスタートアップTURING DRIVE

TURING DRIVE(台智駕)は、競争が激しいFSD市場に参入している自動運転車大手メーカーのTeslaやWaymoとは異なり、工業エリアや遊園地、観光地などの閉鎖的な環境をターゲットにした自動運転車を開発しています。

台湾高雄市の駁二藝術特區を緩やかに走る無人ミニバスには運転席やバックミラー、ハンドルがありません。車に搭載された4つの高精度LiDAR、前後カメラ、GPSを駆使して移動します。

この車はTURING DRIVEが開発したものです。同社はHTC台湾と提携して台湾の高雄港で自動運転車ツアープロジェクトを推進し、観光客の移動手段として無人ミニバスを提供しています。

自動運転車は画像認識、エネルギー管理、機械制御、AIによる意思決定演算などの高度な技術を必要とするため、参入障壁が低いとは言えません。2018年に設立されたTURING DRIVEは、国内では数少ない100%自社開発のチームとして注目されています。

設立からわずか数年の間に、桃園農業博覧会、台中の麗寶楽園、台北市信義路のバス専用道路などで自動運転車サービスを展開してきました。現在までに、延べ73,200人の乗客を運び、総走行距離は33,500キロ以上となります。

TURING DRIVEの設立について、台湾初の国産無人小型バスの開発を推進し、同社のCEOでもある沈大維氏は「きっかけは、社会全体の交通環境を改善したいという思いだった」と語っています。

同氏によると、同社の創業メンバーは過去10年間、交通の改善に取り組み、効率化を目指していたそうです。その過程で、交通システムの根本的な問題は人間の行動が予測・管理しにくいことにあり、交通事故の約80%が人為的な要因であると気づいたそうです。

さらに、近年では高齢化と人口減少が加速し、台湾では深刻なドライバー不足に直面しています。

TURING DRIVEの共同創業者である陳維隆氏は、「社会全体の人手不足を感じたからこそ、自動運転技術の開発を進める決意が固まった」と話します。

ターゲットは限られた空間で使用する車

TURING DRIVEは、一般車両だけではなく、道路清掃車やトンネル点検車などにも自動運転技術を導入しています。

陳維隆氏は「自動運転車や無人シャトルバスは、交通手段としてではなく、限定された空間で利用したり、輸送サービスを提供したりするために使える。特殊車両の使用環境は限られた範囲での低速走行が基本、歩行者や交通状況などを考慮する必要が少ないため、我が社の自動運転ソフトウェアを搭載するだけで、機器を自動で動かせる」と話します。

例えば、無人の道路清掃車は夜間の清掃効率を上げられ、農業自動運転車は農業分野の人材不足問題を解決できます。

利用シーンが異なると、自動運転車に求められるものも大きく変わるため、TURING DRIVEは技術カスタマイズから運用まで挑戦と課題に常に向き合っているそうです。例えば、工業エリアでの無人搬送車には高精度のルート計画技術と貨物識別機能を搭載しますが、観光地で利用する車は乗客の快適性と安全性を重視します。

いかにしてデフォルトとカスタマイズ機能のバランスをとるかは、ソフトウェアが鍵となります。沈大維氏は、「まず、顧客が求める車種や使用環境、要望に対してシステムのプログラムをモジュール化し、我が社の自動運転システムが様々なニーズに応えられるようにしている。そのため、カスタマイズコストを削減でき、市場への浸透速度が上がっている」と述べています。

Xtranと提携して日本市場拡大を目指す

TURING DRIVEは台湾での存在感を高めるだけではなく、海外市場、特に日本にも目を向けています。

同社は今年初め、高齢化による運転手不足の問題を解決するため、沖縄の交通サービスプラットフォームXtranと提携し、沖縄の宮古島で自動運転観光シャトルバスの試験運行を実施しました。毎年100万人の観光客が訪れる宮古島ですが、タクシーは200台ほどで、需要に対して供給が追い付いていないのが現状です。

日本市場に参入したTURING DRIVEですが、その道のりは容易ではありませんでした。同社とXtranが交渉から技術検証までの道を完了するのに2年かかっています。陳維隆氏は、「日本企業は意思決定に対して非常に慎重な姿勢を崩さないが、関係を築いた後は、長期的かつ安定したパートナーとなる」と話します。現在、台智駕の売上の70%は日本市場から得られており、北米やヨーロッパなど他の国へも積極的に進出しています。

陳維隆氏と沈大維氏は、自動運転車は技術開発のマイルストーンとしてだけではなく、全世界の交通問題を解決する鍵となると確信しています。宮古島での実証実験から段階的な市場基盤の拡大まで、台湾初のTURING DRIVEは、国際化への道を切り開いています。

引用元:https://www.bnext.com.tw/article/82764/turing-drive

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