台湾の回転寿司業界~トップを走る爭鮮グループ~

トップを走る回転寿司ブランド爭鮮

台湾の回転寿司市場は成長を続けています。2020年、台湾の大手回転寿司ブランド8社の店舗数は300店ほどでしたが、2024年末には爭鮮、くら寿司、スシローの3大ブランドの台湾における店舗数が400店を超えました。

「社長(爭鮮創業者の陳津秋氏)は10年以上前、爭鮮は台湾に50店あれば良い方だと言っていたが、今では300店近くある」と爭鮮のCEO劉桂照氏は話し、台湾の回転寿司市場は拡大を続けていると指摘します。

過去10年間で国内外の回転寿司ブランド10社近くが台湾市場に参入してきたにもかかわらず、創業30年近い爭鮮の売上高は落ちていません。

同社は昨年、台湾市場で106億台湾ドルほど売上げ(現地上場レストラングループの2~3倍ほど)、中国、香港、タイ、シンガポールなど海外市場を含めた総売上高は220億台湾ドルとなり、台湾チェーンレストラン大手の王品グループの売上高に匹敵します。

爭鮮は今年3月、本社を初公開しています。劉桂照氏が台北MRT南京三民駅出口にある敷地面積千坪の豪華なオフィスに報道陣を案内しました。オフィスは昨年改装されたばかりで、台湾回転寿司ブランドのトップ爭鮮が日本ブランドの猛攻に負けず、好調であることを示しました。

劉桂照氏は、同グループの昨年の売上高増加率が10%に達したと明らかにしました。この数字は、アジアくら寿司の数字よりも高くなります。(アジアくら寿司の2024年の売上高は53.8億台湾ドルで、前年比7%増)。

多様な店舗形態と地方への進出

爭鮮と日本のブランドの違いの1つは、店舗形態です。

面積が100坪を超える店舗が多いスシローやアジアくら寿司とは異なり、爭鮮グループは、8坪から70坪を超える店舗まで様々な規模で展開しています。

ターゲットとする商圏のタイプも異なり、例えば、主力ブランドの「爭鮮」は路面店のほか、ハイパーマーケットや大型スーパーにも進出しており、顧客は家族連れになります。駅や交通結節点に近い場所には、サラリーマンをターゲットとするテイクアウト専門店「爭鮮gogo」を、百貨店には単価が高く、おしゃれなメニューを取り扱う「Magic Touch」や「爭鮮Plus」など若いブランドを展開しています。

爭鮮は、寿司を販売するのに適した場所があれば、どこでも出店します。地元のトップブランドとして30年間歩んできた爭鮮の出店場所の選び方は、海外の競合他社とは当然異なります。「主要都市部の立地が良い場所は空きがすでに無いため、同社は非常に早い段階で地方へ進出し始めた」と劉桂照氏は話します。

爭鮮は現在、花蓮および離島に進出している唯一の回転寿司ブランドで、台東と澎湖にも店舗を構えてます。地方の購買力は高く、爭鮮の関係者によると、今年2月初めに高雄の旗山にオープンした店舗は、開店から3日間で100万台湾ドル以上を売上げ、地方の回転寿司市場の成長率の高さを示しました。

2か月ごとに新メニューを発表

多様な店舗形態のほか、爭鮮の強みは長年に渡って築き上げた研究開発能力です。

爭鮮は国際的な購買力を持つ、国内で有名な水産業者であり、他社への販売だけでも10億台湾ドルを超えます。

あまり知られていませんが、爭鮮は研究開発能力が高く、国内外のシェフと研究開発チームは、毎年定期的に開催するコンテストで技術を磨いています。去年9月に登場した秋メニュー「金賞鮭蝦佐蟹黃(サーモンとエビとカニのタマゴ)」、「一番鮭鰈雙享(サーモンとカレイ)」はコンテストの成果です。

爭鮮の調査によると、回転寿司を食べる客は10皿中7皿はいつもと同じメニューだが、残りの3皿は新しいメニューを試すことがわかっています。

劉桂照氏は、近年の消費者は斬新なデザインを求めているため、新メニューの開発が難しくなっていると指摘します。食材にタレをつけて炙るだけではなく、様々な食材を上に重ね、視覚から新鮮さを訴えるデザインにする必要があるためです。

爭鮮は老舗ブランドですが、他社と同様、2か月ごとに新メニューを発表しているため、既存の顧客が新メニューを試すために定期的に訪れます。

日本ブランドが優勢なIPコラボ

爭鮮が直面している課題は、日本ブランドの共同マーケティングの優位性です。

「ちいかわ」とコラボレーションした昨年8月、くら寿司は史上最高記録の月間売上高5億5100万台湾ドルを記録しました。

「日本ブランドは、私たちには無いIPコラボの優位性がある」と劉桂照氏は認めます。爭鮮がアニメや映画のIPコラボレーションで、くら寿司やスシローなど日本ブランドと競争するのは難しいため、共同マーケティングに関しては、料理のコラボから始めることが多くなります。

例えば、シェフのインフルエンサーFredやアニメ脚本家の床編故事氏と共同でメニューを考えたり、「皇城老媽」や台中市の有名な「老井極上燒肉」など飲食業とコラボしたり、今年の3月には雙月(食品会社)と10種類の新メニューを出します。

「コラボによって、メニューの質を高め、顧客が新鮮だと感じる味を常に提供したい」とマーケティング部門マネージャー郭耿甫氏は話します。例えば、雙月とのコラボでは、雙月の「阿甘剝皮辣椒(唐辛子)」と「松露醬(トリュフソース)」を使うことで、新メニューはミシュランビブグルマンの恩恵を受けることができます。

自社IP戦略について、スシローの「だっこずし」に先を越されないよう、今年から自社のキャラクター人形の販売事業を再始動する計画を明らかにしています。

かつて、爭鮮はキャラクター人形の販売を得意とし、人形の年間販売数は1万個に達しました。10年以上前、爭鮮には誠実で優しい「清水福鮭」や素朴な「伊賀鮭子」など、消費者に愛される人気のキャラクターが生まれています。

爭鮮の今年の目標は、台湾市場で12店舗増やして合計300店舗を超えること、売上高を前年比9%増にすることです。劉桂照氏は、短い期間で見ると台湾の回転寿司市場は拡大を続け、競合他社が互いの業績を奪う合うような状態にはならないと考えており、「共に市場を拡大し、わが社が対応できなかった顧客は競合他社に任せる」と話します。

引用元:https://www.bnext.com.tw/article/82487/sushiexpress_moonmoon

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